体幹(インナーマッスル)とは?
首から上と腕・足を除いた部分のことを体幹といいます。
腹筋や胴体部分のことだと勘違いしやすいのですが、胸や背中などの大きな筋肉、肩関節・股関節まわりの小さな筋肉まですべて体幹であり、それらを鍛えるのが体幹トレーニングです。
体幹にかかわる部位の重量は、全身のうち約46%を占めています。
体幹の状態を整えなければ、寝返りをしたり座位を保ったりといった、日常生活で欠かせない動作の多くが困難となります。
仮に手足だけを重点的に鍛えても、身体の中心である体幹がしっかりしていなければ、筋肉へとうまく力を伝達できず、充分なパフォーマンスを発揮できません。
日常生活やスポーツで要となる筋肉を最大限活用するために、体幹を鍛えておく必要があります。
体幹を鍛えることで得られるメリットとは?
体幹というと、スポーツ選手のトレーニングを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
体幹は、スポーツのみならず、快適な日常生活においても、日常生活を送る上でも重要な部位です。
鍛える事で疲れにくくなったり、腰痛予防、姿勢の崩れを防ぐ、転倒予防などのメリットもあります。
1.姿勢が良くなる
正しい姿勢を保つためには体幹の筋肉が欠かせません。体幹の筋肉が弱いと、上半身を支える力が低下し、猫背になりやすくなるためです。
トレーニングで体幹を強化すると、筋肉によって正しい姿勢を長時間保てるようになるでしょう。
2.腰痛の予防・改善につながる
体幹を強化すると、腰痛など身体の不調が改善されます。
体幹を鍛えて正しい姿勢をキープできるようになり、腰にかかる負担が減るためです。
体幹には腹横筋や多裂筋といったインナーマッスルと、腹直筋や腹斜筋からなるアウターマッスルとがあります。
トレーニングで両方の体幹にアプローチすれば、上半身を支えるのに重要な腰椎同士の連結を強化・安定させることが可能です。
腰(腰椎)は上半身の体重を支える部位であり常に負担がかかっているため、症状を改善したり予防したりするには、体幹をトレーニングすることが重要です。
3.疲れにくい身体になる
体幹の強化は、体を支える土台部分の筋肉をつける効果につながります。
基礎体力をつけるだけでなく、関節への負担を軽減したり、筋肉の張りを予防したりできるでしょう。
そのため、重い荷物を運ぶなど負荷の高い行動をしても、疲れを感じにくくなります。
また、内臓を支える筋肉についても体幹トレーニングで鍛えられるため、身体の内側の疲れが原因となる不調も軽減可能です。
4.代謝が良く太りにくい身体になる
体幹を鍛えると、代謝がアップして太りにくく痩せやすい身体になります。
代謝とは、運動をしていない間にも自然消費されるエネルギーのことです。
筋肉量が多いほど、日々の生活で消費するエネルギー量が増える仕組みです。
体幹を鍛えて筋肉の密度を高めている方は、トレーニングをしていない方と比べ、同じ食生活をしても身体にエネルギーをためこみにくいです。
5.自宅で手軽に鍛えることができるので継続しやすい
体幹を鍛えるトレーニングは、この記事を見たあとすぐに自宅で始めることができます。
特別な道具や、費用のかかるジムなどに行く必要はありません。
身体を動かせるだけのスペースと、少しの時間さえあれば簡単にできます。
一方で本格的な筋トレでは専用の機材をそろえたり、球技では用具や練習場所を用意したりと、費用をかけて準備しなければなりません。
対して体幹トレーニングは、自宅にいながら身体一つで挑戦できるのもメリットと言えます。
筋トレ初心者でもできる体幹のトレーニング
体幹を鍛える方法はいくつかありますが、まずは道具がなくてもチャレンジしやすいメニューから取り組んでみるといいでしょう。
トレーニングごとに鍛えられる部位が異なるため、自身のなりたい姿や目的に合わせてメニューを選ぶこともできます。
1.フロントプランク
体幹の鍛え方としてよく紹介されている、基本的なトレーニングポーズです。
腹筋だけでなく、腕・背中など広範囲を鍛えることができます。
フロントプランクのトレーニング方法は以下のとおりです。
- うつ伏せの状態で両方の肘を床に付ける
- 肩を下げて脇を締める
- つま先を立て、体を持ち上げる
- 身体と床が平行になる位置で体勢をキープする
腰が反ったり、お尻が上がったりすることなく、身体が一直線になる状態で体勢を維持しましょう。
肘の角度は直角になるよう意識します。
慣れてきたら足を左右交互に上げたり、膝を脇に近付けたりなど、足を動かすとより効果的なトレーニングが可能です。
2.サイドプランク
プランクの横向きバージョンで、脂肪を落としにくい腹斜筋を鍛える体幹トレーニングです。
次の方法で、サイドプランクの体勢を作ります。
- 横向きに転がったあと、肘を立てて上半身を持ち上げる
- 肘が肩の真下になるよう調整する
- 下になった足の側面で下半身のバランスを支える
- 肩を下げて脇を締める
- 肘が肩の真下になるよう調整する
- 下になったら足の側面で下半身を支える
- そのまま体勢をキープする。反対側も同様に行う
床に接している身体の面積が小さいため、バランスを取りにくいポーズです。
フロントプランクで体幹を安定させてから、次のステップとしてサイドプランクを取り入れましょう。
余裕が出てきたら、身体を支えていない方の手足を持ち上げることで、さらに負荷を高められます。
3.ヒップリフト
ヒップリフトは、股関節のインナーマッスルとお尻・太もも裏を鍛える体幹トレーニングです。
次のやり方で、お尻を持ち上げます。
- 仰向けに寝て、膝を90度に曲げる
- 股関節を伸ばし身体を床から浮かす
- 肩から膝まで一直線になるまで持ち上げる
- お尻を持ち上げた体勢をキープする
身体を持ち上げる時、お尻・太ももを引き締めるよう意識することがポイントです。
お尻を持ち上げるのに、腰を反らせすぎないように注意しましょう。
体幹トレーニングを行う際の3つの注意点
体幹トレーニングは、やり方やフォームを間違えると身体に負担をかけてしまう可能性があります。
自宅で独学で挑戦する際は、誤ったトレーニングで効果を半減させてしまわないよう、注意点を確認することが必要です。
1.無理に長時間行わない
トレーニング時間は、自分のできる無理のない範囲に設定するのがおすすめ。
長時間の体幹トレーニングで陥りがちなのが、フォームが崩れてしまうこと。
トレーニング中に腰が上がるなどしてフォームが崩れると負荷が減り、時間に対して充分な効果を得ることができませんし思わぬケガに繋がることも。
効果的にトレーニングするには、ポージング時間の長さよりも、正しいフォームで短期集中的な負荷をかける意識が大切です。
2.正しいフォームを心掛ける
正しいフォームで体幹トレーニングを行わないと、本来効果を受けるべき場所に刺激が十分に伝わりません。
例えば、プランクで注意して避けるべきフォームは、次のようなものがあります。
- お尻が持ち上がっている
- 腰が反ってる
- 身体が傾いている
- 肩が上がってる
フォームが乱れることにより腰などへの負担が増すリスクがあるので、感覚的なトレーニングは避け正しいフォームをまずは心がけましょう。
3.呼吸を止めない
体幹トレーニングでは、意識して呼吸することが大切です。
きちんと呼吸できていると、トレーニング時に姿勢を安定させられる効果があります。
呼吸のポイントは、深く息をすること。
6〜10秒程度使って、息を止めることなく意識をしながら深呼吸をしましょう。
一般的な筋トレでは力をこめるタイミングで息を吐き、逆に力を抜くタイミングで吸う特徴があります。
しかし体幹トレーニングは、一定の力で体勢を維持することがほとんどで、ベースとなる呼吸法が異なる点に注意しましょう。