体にいいとされるDHA・EPA(オメガ3系脂肪酸)とは?
DHAやEPAはともに、ヒトの体内ではほとんど作ることができない必須脂肪酸の一種で、魚の油に含まれ、イワシやサバなど青魚を中心に脂の乗った魚に豊富に含まれています。
脂肪酸は、脂質の主な構成要素で、脂肪酸が他の様々な物質と結びつくことで脂質を形成します。
そして脂肪酸は体内で以下の働きをするので、人の健康に不可欠な存在といえます。
- 身体活動のエネルギー源
- 脂溶性ビタミンの吸収を促す
- 体の細胞膜、核膜、ホルモンなどを構成
- 寒さや物体と衝突など、外部からの刺激からの保護
DHA・EPAの違いと効果は?
DHAは脳神経を活性化し、記憶力の向上などの効果があると言われ、EPAは血液をサラサラにする作用があり、動脈硬化を防ぐ結果、心筋梗塞や虚血性心疾患の予防効果も高いと言われています。
DHAの効果
1.学習機能の向上
DHAは脳の細胞の中に入り脳細胞を柔らかくし、情報の伝達性をよくさせるとともに、細胞を活性化させます。
活性化させると学習機能を向上させ、スポーツをすればするほど上達し、学習することで知識・経験・判断力が豊かになります。
胎児の発育や、知識を早いスピードで吸収していく乳幼児にとっても必要な栄養素です。
これは幼児や子供だけでなく、成人や老人になっても有効な栄養素と言えます。
2.ガン・アレルギー作用を抑える
DHAの働きとして、抗ガン作用と抗アレルギー作用が注目されています。
乳ガンや大腸ガンの急激な増加、炎症、アレルギー疾患の発生率が高くなっているのは、魚の摂取量が減ってきていることと相関性があるといわれています。
DHAにはガンを発生させる発ガン物質(プロスタグランジン)を抑える効果があり、摂取し続けることでプロスタグランジンを正常化にしたり増やさないように抑えることができます。
アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・気管支ぜんそく・食物アレルギー・花粉症などのアレルギーは、体内に入った抗原(アレルゲン)を排除しようと、ヒスタミンやロイトコリエン、PAFといったものが過剰に生産されることが原因でおこります。
DHAは、その中のPAFをつくるところを阻害することができ、アレルギーを抑える効果があります。
EPAの効果
1.生活習慣病の予防・改善効果(血液のサラサラ効果)
EPAには高い血小板凝集抑制効果があり、血栓をつくらせない働きがあります。心筋梗塞や虚血性心疾患など、生活習慣病予防の効果があります。
善玉(HDL)コレステロールを増やし、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を減らす働きもあり、血液をサラサラにしてくれます。
高血圧の予防や改善に効果的です。
2.炎症を抑制する効果
EPAには抗炎症作用や免疫力を高める作用があり、炎症を引き起こしたり白血球の活性化に関わる因子の働きを抑制することで、病気の発症を抑えたり、改善すると期待されています。
3.アレルギー症状を緩和する効果
近年の研究ではアトピー性皮膚炎や花粉症、喘息といったアレルギー症状の緩和にも効果があると考えられています。
EPAは不飽和脂肪酸のひとつであるアラキドン酸と拮抗しシクロオキシゲナーゼ、あるいはリポキシゲナーゼなどの酵素を抑制します。
その結果、損傷された組織および炎症部位に浸潤した白血球などから放出される生理活性物質が抑えられます。
したがって、アレルギーを促進する酵素を阻害する働きがあると期待されています。
同時に、慢性気管支炎などの炎症性疾患の改善にも効果があります。
DHA・EPAを上手に摂るための3つのポイント
1.どれくらいの摂取量が必要か?
厚生労働省による摂取基準では、DHAとEPAを合わせて1,000㎎(1g)/日以上摂ることが望ましいとされています。
では1日1gの「DHA」「EPA」って何をどのくらい食べればよいのでしょうか?
刺身なら・・・マグロ(トロ)で4~5切れ、ブリで6~7切れ
焼魚なら・・・サンマで約半尾、小型イワシで約2尾
缶詰なら・・・サバ水煮缶(190g)1/4くらい、イワシ味付缶(100g)1/2くらいです。
毎日食事から摂ることは難しいですが、まずは食事から摂ることを心がけ、摂れなかった日の補給としてサプリメントも上手に利用するといいでしょう。
2.どんな魚を食べればいいのか?
DHA・EPAはイワシやサバなどの青い背の魚(青魚)に多く含まれます。
また、マグロであればトロの部分に多く含まれ、赤身部分にはあまり含まれていません。
脂肪の多い魚(200~300g)を週3回程度食べる事が望ましいとされています。
[1日分の必要量の目安]
【焼き魚】サンマ約1尾、小型のイワシ約2尾
【刺身】マグロ(トロ)4~5切れ、ブリ6~7切れ
3.効率良く摂るには?
新鮮な生の魚、旬の魚を食べるのが一番効果的です。
DHAやEPAは、魚の煮汁や揚げ油に逃げてしまうためこれらをうまく利用した調理法が必要です。
また、青魚の缶詰の汁にも多く含まれています。
魚によっては、微量ですが水銀などの金属が含まれている事があるので、特に妊娠中の方は摂取量や摂取方法に注意が必要です。